Session 0: 体験 — AIエージェントの威力を実感する

セッション概要

項目内容
所要時間90分
目的AIエージェントが業務を自動実行する威力を体験し、学習への強い動機を形成する
前提条件GitHubアカウント(講師が事前に招待済み)、Webブラウザのみ
参加者の到達目標GitHub上でタスクを依頼→AIが実行→成果物をレビューする一連の流れを体験している

事前準備(講師向け)

必要な環境

  1. GitHubリポジトリ(テンプレートリポジトリを用意)

    • リポジトリ名例: ai-agent-workshop-demo
    • 参加者全員をCollaboratorとして招待済み
    • GitHub ActionsでClaude Codeが動作するよう設定済み
  2. リポジトリに含めるファイル

    ai-agent-workshop-demo/
    ├── CLAUDE.md              # AIエージェントへの指示書
    ├── .github/
    │   └── workflows/
    │       └── claude-agent.yml  # GitHub Actions設定
    ├── output/                # 成果物の出力先
    └── README.md              # リポジトリの説明
  3. CLAUDE.mdの内容例

    # プロジェクト設定
    
    あなたはビジネスリサーチアシスタントです。
    GitHub Issueで依頼されたタスクを実行し、成果物をoutput/フォルダに保存してください。
    
    ## 作業ルール
    - 成果物はMarkdown形式で作成する
    - ファイル名は `YYYY-MM-DD-タスク概要.md` の形式にする
    - 調査には必ず出典を明記する
    - 完了したらPull Requestを作成し、Issueを参照する
  4. GitHub Actions設定ファイル(claude-agent.yml)

    • IssueにラベルやコメントをトリガーにClaude Codeを実行
    • 詳細な設定は付録Aを参照

リハーサルチェックリスト

  • テストIssueを作成し、Claude Codeが正常に動作することを確認
  • PRが自動作成され、成果物がoutput/に保存されることを確認
  • 参加者全員のGitHubアカウントがリポジトリにアクセスできることを確認
  • Wi-Fi接続が安定していることを確認
  • デモ用のプロジェクター/画面共有が動作することを確認

タイムテーブル

1. オープニング(10分)

講師の発言例:

「今日はまず、これからの働き方がどう変わるかを体験していただきます。 難しい操作は一切ありません。普段使っているWebブラウザだけで大丈夫です。 ただ一つだけお願いがあります——今日体験することに驚いても、ぜひその驚きを そのまま感じてください。」

やること:

  • 自己紹介(簡潔に)
  • 「AIチャット」は使ったことがある方?と挙手で確認
  • 「今日体験するのはチャットではありません」と予告

2. デモンストレーション(15分)

講師がライブデモを行う。

ステップ1: Issueを作成する

GitHubリポジトリを画面共有し、以下の内容でIssueを作成する:

タイトル: リモートワークの生産性に関する最新トレンド調査

本文:
2024-2026年のリモートワーク/ハイブリッドワークに関する最新の調査データや
トレンドを調査し、以下の観点でレポートを作成してください:

1. 主要な統計データ(生産性、従業員満足度、離職率への影響)
2. 成功企業の事例(3社程度)
3. 今後の見通し

対象読者: 経営企画部門のマネージャー

ステップ2: AIエージェントの動作を見せる

  • GitHub ActionsのログやIssueへのコメントで、AIエージェントが作業中であることを示す
  • 「今、AIエージェントがWebで情報を収集し、レポートを書いています」と解説
  • 作業完了までの待ち時間に、次のスライドで全体像を簡単に説明

ステップ3: 成果物を確認する

  • PRが作成されたら画面共有
  • 成果物(Markdownレポート)の品質を一緒に確認
  • 「これが数分で作成されました」と強調

講師の発言例:

「今見ていただいたのは、AIが単に質問に答えたのではありません。 タスクを受け取り、自分で調査し、ファイルを作成し、レビュー依頼まで 出してくれました。これが『AIエージェント』です。」

3. ハンズオン体験(40分)

参加者が自分でIssueを作成し、AIエージェントに仕事を依頼する。

ステップ1: タスクの選択(5分)

以下のタスクテンプレートから一つ選んでもらう(もちろん自由記述も可):

テンプレートA: 業界リサーチ 「○○業界の最新トレンドを3つ挙げ、それぞれの概要と ビジネスへの影響を500字程度でまとめてください」

テンプレートB: 競合分析 「○○社と△△社のサービスを比較し、機能・価格・ターゲット顧客の 観点で比較表を作成してください」

テンプレートC: 企画書ドラフト 「○○に関する社内勉強会の企画書ドラフトを作成してください。 目的、対象者、プログラム案、必要な準備を含めてください」

ステップ2: Issueの作成(10分)

  • 参加者各自がGitHubリポジトリに移動
  • New Issueをクリック
  • 選んだタスクテンプレートをベースに、自分の業務に関連する内容でIssueを作成
  • 講師はつまづいている参加者をサポート

講師のTips:

  • Issueのタイトルは簡潔に、本文に詳細を書くよう案内
  • 「誰に向けた資料か」「どの程度の分量か」など、具体的な指示を入れると良い結果が出ることを伝える

ステップ3: 成果物の確認(15分)

  • AIエージェントが作業を完了したら、PRを確認するよう案内
  • 成果物を読んで、品質を評価してもらう
  • PRのコメント欄に感想や修正依頼を書いてもらう

ステップ4: 修正依頼の体験(10分)

  • PRのコメントに修正依頼を書くと、AIエージェントが対応することを体験
  • 例:「もう少し具体的なデータを追加してください」「表形式にまとめ直してください」
  • 「依頼→実行→レビュー→修正依頼」のサイクルを体感する

4. 振り返りとディスカッション(20分)

問いかけ:

  1. 驚いたこと: 「今の体験で、一番驚いたことは何ですか?」
  2. 可能性: 「自分の業務で、これを使えそうな場面はありますか?」
  3. 不安: 「使ってみて、不安や懸念に感じたことはありますか?」

講師が整理するポイント:

  • AIエージェント ≠ AIチャット

    • チャット:質問→回答の一往復
    • エージェント:タスク→計画→実行→成果物の提出(自律的に複数ステップを実行)
  • GitHubは「AIエージェントのオフィス」

    • Issue = タスクの指示書
    • PR = 成果物の提出と検収
    • コメント = フィードバックと修正依頼
    • つまり、人間のチームメンバーに仕事を依頼するのと同じ構造
  • なぜ今これを学ぶべきか

    • AIエージェントは「ツール」ではなく「新しい働き方」
    • 適切に指示を出し、成果物を評価できる能力が必要
    • この能力はエンジニアだけのものではない

5. 次回予告とクロージング(5分)

講師の発言例:

「今日はGitHubのボタンを押すだけで体験していただきましたが、 次回からは、AIエージェントの仕組みを理解し、自分で自在に 使いこなせるようになるためのステップに入ります。 次回は『AIエージェントとは何か』を理解し、 Claude Codeを自分のPCで動かしてみます。」

宿題(任意):

  • 自分の業務で「これはAIエージェントに任せられるかも」と思うタスクを3つ書き出す
  • GitHubリポジトリを見返して、他の参加者のIssueとPRも見てみる

付録A: GitHub Actions設定ファイル例

# .github/workflows/claude-agent.yml
name: Claude Agent

on:
  issues:
    types: [opened, labeled]
  issue_comment:
    types: [created]

jobs:
  agent:
    if: |
      (github.event_name == 'issues' && contains(github.event.issue.labels.*.name, 'agent-task')) ||
      (github.event_name == 'issue_comment' && contains(github.event.comment.body, '@claude'))
    runs-on: ubuntu-latest
    permissions:
      contents: write
      pull-requests: write
      issues: write
    steps:
      - uses: actions/checkout@v4

      - name: Run Claude Code
        uses: anthropics/claude-code-action@v1
        with:
          anthropic_api_key: ${{ secrets.ANTHROPIC_API_KEY }}
          github_token: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}

付録B: トラブルシューティング

問題対処法
Issueを作ったがAIが動かないagent-task ラベルが付いているか確認。GitHub Actionsタブでエラーを確認
PRが作成されないGitHub Actionsのログを確認。APIキーの設定を再確認
成果物の品質が低いIssueの指示が曖昧でないか確認。具体的な要件を追記してもらう
参加者がGitHubにログインできない事前の招待メールを再確認。ブラウザのシークレットモードを試す

付録C: 講師用チェックリスト(当日)

  • リポジトリのGitHub Actionsが有効になっている
  • ANTHROPIC_API_KEYがリポジトリのSecretsに設定されている
  • テストIssueで動作確認済み
  • 参加者リストとGitHub招待状況の最終確認
  • プロジェクター/画面共有の動作確認
  • Wi-Fi接続の安定性確認
  • 予備のモバイルホットスポット準備(オプション)