Module 3: 応用ユースケース — 実践演習集

この演習集の使い方

各演習にはサンプルデータステップバイステップの手順を用意しています。以下の流れで進めてください。

  1. サンプルデータをファイルとして保存する
  2. 手順に従ってClaude Codeにプロンプトを入力する
  3. 出力結果を確認し、必要に応じて修正を依頼する
  4. 振り返りポイントで学びを整理する

所要時間の目安: 各演習30〜45分


演習 1: 議事録の構造化

学習目標

  • 非構造データ(走り書きメモ)を構造化されたドキュメントに変換できる
  • 決定事項とアクションアイテムを正確に抽出する指示ができる
  • GitHub Issue形式への変換を指示できる

サンプル会議メモ

以下のテキストをファイルとして保存してください。

ファイル名: exercises/ex1-meeting-notes.txt

プロダクト企画会議 2026/3/10 14:00-15:30

出席:山本(PM)、川口(デザイン)、林(エンジニア)、中村(マーケ)、石田(CS)

■新機能について
・ダッシュボード機能のリニューアルを4月にやりたい(山本)
・今のダッシュボードは使いにくいというフィードバックが多い(石田)
  → 具体的には「グラフの切り替えがわかりにくい」「データの更新タイミングがわからない」
・川口さんがワイヤーフレーム作成、3/17までに初稿
・林さんが技術的な実現可能性を調査。APIの制約があるかも。3/14までに報告

■競合の動き
・CompetitorXが似た機能を先月リリース済み
・中村さんが競合分析レポート作る(3/20まで)
・うちのほうが細かいフィルタ機能が強みなので、そこを訴求する方向で
→ マーケメッセージの方向性は次回決定

■カスタマーサクセス
・大口顧客D社から解約の相談あり(石田)
  → 理由:使いこなせていない。オンボーディングの改善が必要
  → 石田さんが来週D社とMTG設定。山本もできれば同席
・チャーンレートが先月1.5%→2.1%に悪化
・オンボーディング資料の見直しが急務
  → 石田+川口で改善案を3月中にまとめる

■その他
・4月の展示会(SaaS Expo)の出展確定(中村)
  → ブースデザインは川口、デモ準備は林が担当
  → 予算は50万円以内で(山本が経理に確認済み)
・来月から週次→隔週に変更しよう(全員合意)
  → 次回は3/24(火)14:00

メモ担当:中村

手順

Step 1: ファイルを作成する

exercises/ ディレクトリを作成し、上記の会議メモを exercises/ex1-meeting-notes.txt として保存してください。

Step 2: 構造化を依頼する

以下のプロンプトをClaude Codeに入力してください。

exercises/ex1-meeting-notes.txt を読んで、以下の3つのファイルを作成してください。

1. exercises/ex1-structured-minutes.md
   構造化された議事録:
   - 会議情報(名称、日時、出席者、メモ担当)
   - 議題ごとの討議要約
   - 決定事項リスト
   - アクションアイテム表(担当者、内容、期限)
   - 次回会議の情報

2. exercises/ex1-action-items.md
   アクションアイテムを担当者別にグループ化し、
   各項目をGitHub Issue形式(タイトル、本文、推奨ラベル)で記載してください。

3. exercises/ex1-concerns.md
   会議メモから読み取れるリスクや懸念事項を整理してください。
   各懸念事項に対する推奨アクションも記載してください。

Step 3: 出力を検証する

生成されたファイルを確認し、以下の観点でチェックしてください。

  • すべてのアクションアイテムが抽出されているか(最低6件あるはず)
  • 期限が明記されていない項目にフラグが立っているか
  • 「D社の解約リスク」が懸念事項として挙がっているか
  • 「チャーンレート悪化」が懸念事項として挙がっているか
  • 次回会議の情報が正しいか(日付、開催頻度の変更)

Step 4: 修正を依頼する

検証で問題があった場合は、修正を依頼してみましょう。例:

ex1-action-items.md を確認しました。以下の修正をお願いします:
- 「石田+川口でオンボーディング資料改善案をまとめる」のIssueが抜けています。追加してください
- 各Issueに優先度(high/medium/low)も追加してください
  - D社関連はhigh、展示会準備はmedium、その他はlowとしてください

振り返りポイント

この演習を通じて、以下を確認してください。

  1. Claude Codeは「暗黙的な決定事項」(例: 「〜の方向で」は決定なのか検討中なのか)をどう解釈したか
  2. アクションアイテムの「期限」が曖昧な場合(例: 「来週」「3月中」)にどう処理されたか
  3. 追加の修正指示をすることで、出力の品質がどう改善されたか

演習 2: レポートの自動変換

学習目標

  • 1つの詳細レポートから、読者に合わせた複数バージョンを生成できる
  • 変換ルール(含める情報、除外する情報、トーン)を適切に指示できる
  • 生成結果の品質を評価し、修正指示ができる

サンプル詳細レポート

以下のテキストをファイルとして保存してください。

ファイル名: exercises/ex2-detail-report.md

# カスタマーサクセス部門 2026年2月 月次レポート(詳細版)

## 1. 主要KPI

### 1.1 チャーンレート(解約率)
- 月次チャーンレート: 2.1%(目標: 1.5%以下)→ **未達**
- 前月: 1.5% → 0.6ポイント悪化
- 内訳:
  - エンタープライズ: 0.5%(前月比 変動なし)
  - SMB: 3.2%(前月比 +1.2ポイント)← 問題
  - スタートアップ: 2.8%(前月比 +0.3ポイント)

### 1.2 NPS(Net Promoter Score)
- 全体NPS: +32(前月: +38、前年同月: +29)
- セグメント別:
  - エンタープライズ: +45(安定)
  - SMB: +22(前月比 -8)← 問題
  - スタートアップ: +31(前月比 -2)

### 1.3 サポート対応
- 問い合わせ件数: 342件(前月: 310件、+10.3%)
- 平均初回応答時間: 2.3時間(目標: 2時間以内)→ **未達**
- 平均解決時間: 18.5時間(目標: 24時間以内)→ 達成
- 顧客満足度(CSAT): 4.2/5.0(前月: 4.3)

## 2. セグメント別分析

### 2.1 エンタープライズ(50社)
- 契約更新: 3社が更新済み、2社が交渉中
- 主要トピック:
  - A社: API連携の追加要望。開発チームにエスカレーション済み
  - B社: 管理画面のカスタマイズ要望。Q2ロードマップに組み込み検討中
  - C社: 新機能のベータテスト参加に同意
- アップセル成果: 2社がプラン変更(月額+30万円)

### 2.2 SMB(180社)
- 解約: 6社(前月: 3社)
- 解約理由分析:
  - コスト(3社): 競合他社のほうが安い
  - 機能不足(2社): レポート機能が弱い
  - 利用率低下(1社): オンボーディング不十分
- 新規オンボーディング: 12社完了
- 課題: SMBセグメント担当が1名退職(2月末)。3月は人手不足の見込み

### 2.3 スタートアップ(70社)
- 解約: 2社(前月: 1社)
- 特記事項: スタートアップ向け割引プランの利用増加(+5社)
- 割引プラン経由のコンバージョン率: 40%

## 3. チーム状況

### 3.1 メンバー
| 名前 | 担当 | 今月の主な成果 | 課題 |
|------|------|-------------|------|
| 石田(リーダー) | エンタープライズ | A社のエスカレーション対応 | 管理業務の負荷増 |
| 佐々木 | SMB | オンボーディング改善提案 | 3月以降の担当引き継ぎ |
| 渡辺 | SMB | 解約阻止2件 | 退職する佐々木の業務引き継ぎ |
| 木村 | スタートアップ | 割引プラン運用フロー構築 | 問い合わせ対応に時間を取られる |

### 3.2 採用
- SMB担当の後任: 書類選考中(応募8件、面接予定2件)
- 目標: 3月中に内定、4月入社

## 4. 今月のアクション実績

| # | アクション | ステータス | 備考 |
|---|-----------|-----------|------|
| 1 | オンボーディング資料の改訂 | 進行中(60%) | 3月中旬完了予定 |
| 2 | SMBセグメント向けウェビナー開催 | 完了 | 参加者45名、満足度4.1/5.0 |
| 3 | NPS調査の実施 | 完了 | 回答率32% |
| 4 | 解約予兆モデルの導入検討 | 未着手 | リソース不足のため延期 |

## 5. 来月のアクション計画

1. SMBセグメントの解約率改善施策の実行
2. オンボーディング資料の改訂完了とロールアウト
3. 採用:SMB担当の面接・内定
4. D社(エンタープライズ)の解約阻止ミーティング
5. 解約予兆モデルの要件定義(開発チームと連携)

手順

Step 1: ファイルを作成する

上記のレポートを exercises/ex2-detail-report.md として保存してください。

Step 2: 3つのバージョンに変換する

exercises/ex2-detail-report.md を読んで、以下の3つのバージョンを生成してください。

## 1. マネージャー向けサマリー(exercises/ex2-manager-summary.md)
- 分量: A4で1枚程度
- 含める内容: 主要KPI(目標比付き)、セグメント別のハイライト(最大3行/セグメント)、来月の重点アクション
- 除外する内容: 個人名(リーダー名のみ可)、詳細な数値の内訳
- トーン: 簡潔・報告調

## 2. 経営向けエグゼクティブサマリー(exercises/ex2-executive-summary.md)
- 分量: 箇条書き10行以内
- 構成: 「Headline」「Key Concerns」「Recommended Actions」の3セクション
- 含める内容: 経営判断に必要な情報のみ(ヘッドライン数字、重大リスク、意思決定が必要な事項)
- トーン: 戦略的・端的

## 3. プロダクトチーム向け共有版(exercises/ex2-product-feedback.md)
- 含める内容: 顧客からの機能要望、解約理由のうち機能に関するもの、NPS低下の要因分析
- 除外する内容: 金額、個人名、チーム内部の人事情報
- トーン: 協力依頼のニュアンス(「これらのフィードバックをプロダクト改善に活かしたい」)

Step 3: 出力の品質を評価する

以下のチェックリストで各バージョンを評価してください。

マネージャー向けサマリー:

  • チャーンレート2.1%(目標比未達)が明記されているか
  • SMBセグメントの問題が最優先課題として示されているか
  • 分量がA4で1枚以内に収まっているか(およそ400〜600字)
  • 個人名がリーダー名以外含まれていないか

経営向けエグゼクティブサマリー:

  • 10行以内に収まっているか
  • 「SMB担当の退職→人手不足」がリスクとして挙がっているか
  • 採用に関する意思決定事項が含まれているか

プロダクトチーム向け共有版:

  • API連携、管理画面カスタマイズ、レポート機能の3つの要望が含まれているか
  • 金額情報が含まれていないか
  • 人事情報(退職等)が含まれていないか

Step 4: 改善を依頼する

チェックで問題があれば修正を依頼します。また、追加のバージョンを試してみましょう。

追加で、exercises/ex2-all-hands.md を作成してください。

対象読者: 全社ミーティング(月次オールハンズ)での報告用
分量: 箇条書き5〜7行
トーン: ポジティブな表現を心がけつつ、課題は正直に伝える
含める: 今月の成果(ウェビナー、アップセル)、チャレンジ(チャーンレート)、来月の注力ポイント
除外: 詳細な数値、個人名、人事情報

振り返りポイント

  1. 同じデータでも、読者によって「含めるべき情報」「除外すべき情報」が異なることを実感できたか
  2. 「トーン」の指定がどの程度出力に影響したか
  3. 除外指示した情報が本当に除外されているか(特に人事情報や金額)

演習 3: 業務フロー図の作成

学習目標

  • 自分の実際の業務プロセスを題材にして、フロー図を作成できる
  • ヒアリング情報の不足をClaude Codeに指摘してもらえる
  • Mermaid形式のフロー図を生成・修正できる

手順

この演習では、あなた自身の業務プロセスを題材にします。サンプルデータはありません。

Step 1: 業務プロセスを1つ選ぶ

以下の候補から、自分が関わっているプロセスを1つ選んでください。

  • 発注・購買プロセス
  • 新規顧客の受入プロセス
  • 社内申請(稟議)プロセス
  • 採用プロセス(書類選考〜入社まで)
  • インシデント対応プロセス
  • コンテンツ公開プロセス(ブログ、プレスリリース等)

上記にない場合は、自由にプロセスを選んでください。

Step 2: プロセスの情報を書き出す

テキストファイルに、選んだプロセスの流れを自分の知っている範囲で書き出してください。完璧でなくて構いません。

exercises/ex3-process-notes.txt に、自分が選んだ業務プロセスの流れを書き出してください。

書き出すこと:
- プロセスの名前と目的
- 関係者(誰が関わるか)
- ステップの流れ(思いつく順でOK)
- 分岐条件(「もし〜なら」の判断ポイント)
- 使っているツール
- よくあるトラブルや例外

Step 3: フロー図と手順書の生成を依頼する

exercises/ex3-process-notes.txt を読み、以下を作成してください。

1. exercises/ex3-flowchart.md
   - Mermaid形式のフローチャート
   - メインフロー(正常系)と例外フロー(異常系)を分けて記載
   - 各ステップに担当者を注記

2. exercises/ex3-manual.md
   - ステップバイステップの手順書
   - 各ステップに「担当者」「使用ツール」「所要時間の目安」「注意事項」を記載

3. exercises/ex3-questions.md
   - プロセスメモから読み取れなかった不明点を質問リストとして整理
   - 各質問に「なぜこの情報が必要か」の理由も記載

Step 4: 不明点に回答してフロー図を更新する

exercises/ex3-questions.md の質問に回答します。

(ここに自分で回答を記入)

回答を反映して、ex3-flowchart.md と ex3-manual.md を更新してください。

Step 5: フロー図を改善する

exercises/ex3-flowchart.md のフローチャートを以下の観点で改善してください:

1. 各ステップの所要時間を注記として追加
2. ボトルネックになりやすいステップをハイライト(色分けやコメント)
3. プロセス全体の所要時間(最短/標準/最長)を冒頭に記載

振り返りポイント

  1. 自分が「当たり前」と思っていたプロセスに、どれくらいの「不明点」が指摘されたか
  2. 生成されたフロー図は、チームメンバーに見せて理解してもらえるレベルか
  3. 手順書として、新人が読んで実行できるレベルか

演習 4: 自由選択演習

学習目標

  • テキストブックで学んだユースケースを、自分の業務に応用できる
  • 独自のプロンプトを設計できる

手順

Step 1: ユースケースを1つ選ぶ

テキストブック(textbook.md)の以下のユースケースから1つ選んでください。

#ユースケースおすすめの人
4KPI/OKRダッシュボード用データ整備KPIの集計作業に時間をかけている人
5業務プロセスのフロー図・手順書作成演習3を飛ばした人、別のプロセスも試したい人
6社内ナレッジベースの構築・更新ドキュメント管理に課題がある人
7RFPのドラフト作成外部ベンダーとの取引がある人
8契約書のリスクチェック補助契約書の確認業務がある人
9多言語コンテンツのローカライズ海外向けのコンテンツ作成がある人
10シナリオシミュレーション事業計画の策定に関わる人
11補助金申請支援補助金・助成金に関心がある人

Step 2: 自分の業務データを準備する

選んだユースケースに必要なデータを、実際の業務から取得してください。

  • 実データが使えない場合は、サンプルデータを自分で作成してもOKです
  • 機密情報を含む場合は、ダミーデータに置き換えてください

Step 3: テキストブックの指示例を参考に、プロンプトを設計する

テキストブックの「Claude Codeへの指示例」をベースに、自分の業務に合わせてカスタマイズしてください。

ポイント:

  • ファイルパスは exercises/ex4- で始めてください
  • 出力形式を明確に指定してください
  • 期待する品質レベルを伝えてください

Step 4: 実行して結果を評価する

以下の観点で結果を評価してください。

  • 期待した成果物が生成されたか
  • 品質は実務で使えるレベルか
  • 修正が必要な箇所はどこか
  • プロンプトのどこを改善すれば、より良い結果が得られるか

Step 5: プロンプトを改善して再実行する

Step 4の評価をもとにプロンプトを改善し、再度実行してください。

改善のヒント:

  • 出力に不足があった場合 → 具体的な項目を追加する
  • 品質が低かった場合 → 参考例やテンプレートを添える
  • 余計な情報が含まれた場合 → 除外条件を明示する

振り返りポイント

  1. テキストブックの指示例をどの程度カスタマイズする必要があったか
  2. 1回目と2回目の実行で、出力品質がどの程度改善されたか
  3. このユースケースを今後の業務で定期的に使えそうか

総合振り返り

すべての演習を終えたら、以下の問いについて考えてみてください。

自分の業務への適用

  1. 即座に導入できるユースケースはどれですか? その理由は?
  2. 導入にハードルがあるユースケースはどれですか? 何が障壁になっていますか?
  3. このモジュールで扱っていない、自分の業務で試してみたいユースケースはありますか?

プロンプト設計のスキル

  1. 演習を通じて、プロンプトの書き方で最も重要だと感じたポイントは何ですか?
  2. 「うまくいかなかった」プロンプトと「うまくいった」プロンプトの違いは何でしたか?

次のアクション

この演習集を終えた後、最初の1週間で取り組む具体的なアクションを1つ決めてください。

例:
- 「来週の週次定例の議事録を、Claude Codeで構造化してみる」
- 「月次レポートの変換テンプレートを作って、来月から使ってみる」
- 「チームのナレッジが散在している領域を洗い出して、整理計画を立てる」

自分のアクション: _______________________________________________